あのラストシーンのおじさんが、未来の自分に重なった。『喫茶おじさん』読書感想

――小さく始めることが、人生を動かす最初の一歩。

著者:原田ひ香
出版社:小学館

妄想書店より

この本は、妄想書店の“やり直しの棚”にそっと置きたい。 人生を巻き戻すのではなく、そこから少しだけ角度を変えて歩き始める人の物語だから。 おじさんの鈍感さに苦笑しながら、なぜか自分の未来の姿を重ねた一冊でした。

読んだきっかけ

『三千円の使い方』で感じた作者の視点が好きで、読み放題にあったのをきっかけに手に取りました。 “喫茶おじさん”というタイトルのゆるさに惹かれたのも正直なところ。 タイトルだけで「これは読むしかない」と思わせる力がありました。

どこに何を感じたか?

松尾純一郎、57歳。 周りに気づけず、家族との距離を見失い、何をやっても空回り気味。 読んでいて「もうちょっとなんとか…」と言いたくなるのに、なぜか憎めない。 でも、いちばん心に刺さったのは、 “最後のおじさんのシーン”。 それまでの人生を反省し、小さく始めて、やり直していく姿。 お金のことも、生活のことも、自分の守備範囲を具体的に考えて、 できる範囲からコツコツ始めていく。 あの場面で、 「自分にはこれが足りなかった」 と静かに突きつけられた気がした。

どんな本だった?誰かに伝えるなら

喫茶店を巡るゆるい物語なのに、ところどころで人生の核心に触れてくる。 自分の人生を俯瞰して見ることの難しさ、 “本当は恵まれているのに、それに気づけない”切なさ。 50代・60代のセカンドストーリーを描きつつ、 「まだ間に合うよ」とそっと背中を押してくれる本です。

自分に何をもたらしてくれた?

読みながら、自然と自分の未来のことを考えていた。 ありたい姿、やってみたいこと、夢の話。 それを“現実に引き寄せる方法”がはっきり見えた。 おじさんが見つけた答えはシンプルで、 「小さく始める」「お金のことを具体化する」「まず動く」。 本を閉じてすぐ、 自分の夢に必要な金額と数字をノートに書き出してみた。 まだ遠い未来の話なのに、輪郭が急にくっきりした。 あの瞬間が、今回の読書の収穫だったと思う。 読んで終わりじゃない。 読んで、小さく行動を起こした。 こういう読書体験を、これからも積み重ねていきたい。

こんな人におすすめ

「この先の人生をどう使いたいか」を考え始めている人。 特に40代以降の“次のステージ”を意識し始めた人に刺さると思います。

妄想書店コメント

人生は、やり直しではなく“積み直し”。 一度壊れた場所からでも、また新しい景色は見える。 喫茶店の湯気の向こうで、小さな未来がゆっくり立ち上がっていく物語でした。

次に読むなら

  • 『三千円の使い方』──人生の“お金の基礎体力”を鍛えてくれる本
  • 『スイート・ホーム』──家族との距離感を見つめ直す物語
  • 『財布は踊る』──老後と自由のバランスを考えるヒント