ようこそ、喫茶モヤモヤへ。
ここは、仕事や人生の中でふと立ち止まったときの気持ちを、そっと置いていく場所です。
今日は「会社の価値観に染まっていく自分」について、マスターの独り言をひとつ。
…今日も一日終わって、店を片付けながら思ったんだよ。
「人って、知らないうちに、長くいた場所の色に染まっていくんだなぁ」って。
社会に出ると、どうしても家と会社の往復が暮らしの大部分になるだろう?
そうするとね、会社の価値観が少しずつ、じわ〜っと自分の中に入り込んでくるんだ。
最初は違和感があったはずなのに、いつの間にか同じような言い方をしている自分がいたりしてね。
「あれ、こんな考え方する人間だったっけ?」って、ふと我に返る瞬間がある。
指摘する側の人間に染まりかけた自分が、嫌だった。
私はもともとね、人に強く何かを言ったり、指摘したりするのが苦手でさ。
人はそんなに簡単に変わらないって分かっているから、できれば責めたくないんだよ。
どちらかというと、欠点を埋めるより、良さと良さを掛け合わせる方が好きでね。
その人の“光っている部分”をどう生かすかを考える方が、性に合ってる。
でも、会社ってどうしても「できていないところ探し」が中心になりがちだろう?
組織としては必要な視点なんだろうけど、どうも私はそこに馴染めなかった。
それでも最初は頑張って合わせようとしてね。
でも、どうしても心の底にしこりが残る。
「これ、私がやりたい働き方じゃないな」と思いながらも、無理して寄せてくたびれていた。
気づいたら家の中にまで会社の価値観が入り込んでいた。
ある日ふとね、子どもに向ける言葉まで会社の影響を受けてる自分に気づいて、
ゾッとしたんだよ。
“できていないところ”ばかり見ようとしていた。
そんなの、本来の私じゃない。
胸の奥で、ガサッと音がした。
ああ、これは違う。戻らないと。
そう思ったんだ。
組織の価値観を否定したいわけじゃない。でも…。
会社が価値観を共有しようとするのは分かる。
欠点を補い合う働き方が必要な場面もあるし、会社の論理も、それはそれで正しい。
でもね、
「正しいこと」と「自分が心地よく働けること」って、必ずしも一致しない。
そこに違和感を覚える人、意外と多いと思うんだよ。
でもみんな口にしないだけで。
私も長い間、自分が少数派なんだと思っていた。
でも、そうじゃないんだよね。
染まらないための小さな工夫も、じつは大事。
自分を保つのは難しいけれど、ちょっとした工夫で“距離”は保てる。
- 自分の価値観を紙に書き留めておく
- 違和感を覚えたときは一呼吸おく
- 会社の外に“別の価値観”を持てる場所をつくる
- 役割と自分の価値観を分けて考える
こんな些細なことでも、心が会社だけに握られなくなるんだよ。
合わないなら、合わないなりのやり方でいい。
会社の価値観が自分と合う人は、そのまま進めばいい。
合わない人は、合わないなりの距離の取り方を見つければいい。
無理に同じ色に染まらなくてもいい。
反発ばかりしなくてもいい。
大事なのは、
「私はこういう人間なんだ」と、自分にだけでも認めてあげること。
その一言だけで、ずいぶん楽になる。
そして──同じモヤモヤを抱えているあなたへ。
会社の価値観に押し流されそうで苦しい人。
わかっているけど馴染めなくて、心の奥がざわつく人。
自分の色を失いたくないのに、言葉にできずに飲み込んでしまった人。
ここにひとり、同じような人がいます。
だからあなたは、ひとりじゃないよ。
自分を完全に守らなくても、完全に手放さなくてもいい。
ゆっくりでいいから、自分の色を取り戻せばいい。
今日の言葉は、そのための小さな灯りになればと思って、
ここにそっと置いておきます。