彼の本心はどこに?|『正体』読書感想

著者:染井為人
出版社:光文社

こんな人におすすめ

映像化の原作を読みたい人、伏線のある話が好きな人

読んだきっかけ

映画が面白そうで原作で読みたかった。先に原作を読みたい派です。

どこに何を感じたか?

逃亡先それぞれのエピソードが、その土地のキーマン目線で語られる構成が印象的でした。
事件と本人、そして目の前の人物。それらが本当に“同一”なのかという疑念がずっと付きまとう。
死刑が迫るなか、それでも諦めず生きる希望を証明しようと足掻いた男の姿に、心が揺さぶられました。

どんな本だった?誰かに伝えるなら

もう一度読んだら結末が変わらないかな、と思わせてくれる本。
「たられば」を考えたくなるのは、面白い本の証拠だと思っています。

自分に何をもたらしてくれた?

人を先入観で見てはいけない。その人が何をしたかで判断したい。
人の情報ではなく、自分の目で見て、感じて、考えること。
そして誰かに良くしてもらったなら、次は自分が誰かに返していく——そんな“輪”を広げたいと思わせてくれる本でした。

次に読むなら

リアルな犯罪と人間の奥底を描いたノンフィクション『地面師たち』(新庄 耕)もおすすめです。
“本当の正体”は何か?そう考えさせられる作品として、読み応えがあります。