周りが見えていない自分に、少しだけ優しくなれる本。『喫茶おじさん』読書感想

共感と教訓と、少しの憧れをくれる物語。

作者:原田ひ香
出版社 ‏ : ‎ 小学館

妄想書店より

妄想書店の“やり直しの棚”に置きたい一冊。 年を重ねてからの不器用さ、空回り、そして少しずつ見えてくる景色。 焦りや孤独を抱えながらも、コーヒーの湯気のようにやわらかく生きていくおじさんの姿が、どこか他人事ではなくて。 「こんなふうに、もう一度立ち上がれたらいいな」と思える物語です。

読んだきっかけ

同じ作者の『三千円の使い方』が面白く、 「喫茶おじさん」というタイトルに惹かれて読みました。 どんな“おじさん”が登場するのか、そして喫茶店という舞台にも興味がありました。

どこに何を感じたか?

主人公・松尾純一郎、57歳。 周りが見えていないおじさんの物語です。 娘とのすれ違い、妻との別れ、仕事もうまくいかない。 そんな彼が喫茶店を巡るうちに、少しずつ人の気持ちや自分の現実を見つめ直していく。 自分も「周りが見えていない」ことが多いので、共感と教訓を同時に感じました。 “恵まれていない”と思い込むけれど、実は人から見れば恵まれている。 そのギャップは、誰の中にもあるのかもしれません。

どんな本だった?誰かに伝えるなら

老後やセカンドライフを前にした一人の男性が、 “もう一度人生を始める”ためのヒントを見つけていく物語。 喫茶店のスイーツやサンドイッチ、コーヒーの描写がとにかく美味しそうで、 読んでいると、人生のほろ苦さの中にある小さな甘さを味わうような気分になります。

自分に何をもたらしてくれた?

おじさんの姿を通して、 「変わること」「見直すこと」はいくつになっても遅くないと感じました。 新しい挑戦は小さく始めればいい。 お金のことも、暮らしのことも、具体的に考えれば不安は薄れていく。 そう思えたのは、この物語のおかげです。 そしてラストの姿に、憧れを抱きました。 “おじさんもできたんだから、自分もきっとできる”―― そんな温かい勇気をもらいました。

こんな人におすすめ

仕事や家庭に行き詰まりを感じている人、 もう一度ゆっくり人生を立て直したいと思っている人におすすめです。

妄想書店の推しコメント

人はいつだって、見えていなかったものに気づくことで変われる。 焦らなくていい。 コーヒーが冷めるくらいの時間をかけて、 自分を見つめ直していけばいいんだと思える本でした。

次に読むなら

  • 『三千円の使い方』──同じく原田ひ香さんの“暮らしの再発見”シリーズ
  • 『そして、バトンは渡された』──親子や家族のつながりを優しく見つめ直す物語
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